さぶかるもん

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Netflixオリジナルアニメ『A.I.C.O. Incarnation』 全話視聴感想

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http://www.project-aico.com/

Netflixで9日に配信開始した『 A.I.C.O. Incarnation 』を視聴。

監督は『翠星のガルガンティア』、『正解するカド』の村田和也氏で、全話絵コンテをやっています。シリーズ構成は『コメット・ルシファー 』の野村祐一。この二人は『交響詩篇エウレカセブン』で仕事をしていて、評価の高い「バレエ・メカニック」回を担当しています。

世界観としては未来都市で、研究されていた人工生体が暴走し、マターと呼ばれる怪物化し猛威を振るう日本が舞台のバイオSFアクション。

『B:the Beginning』が20~30代向けとしたら、この作品はティーン向けといった感じで、設定は良いのですが、ドラマ性は薄く、全体的にチープな展開で、キャラもあまり魅力的ではなく、余計な要素を入れすぎているといった印象。物語の核心に迫る後半はそれなりに盛り上がるんですが、そこに至るまでが長く、映画で1時間くらいにくる見せ場に2時間かけてしまっているといった感じで、『B:the Beginning』と同じ問題点があると思います。TVシリーズではないのだから、『カウボーイビパップ』などのような単発エピソード型で積み重ねる形式じゃない限り、全12話とかに拘る必要はなく、もっと柔軟な作り方をして貰いたいです。

アクションの方も単調で、基本的に触手、人型のマターがどんどん出てきて応戦するの繰り返しで、大して代わり映えがしないのが難点。ラスボス的な存在との戦闘も緊迫感に欠け、もっと恐怖心を煽ったりするような敵の見せ方に工夫が欲しいところ。

Netflixオリジナルアニメ第一弾の湯浅政明監督『DEVILMAN crybaby』は、監督の作家性とアニメーター含む個々のスタッフの作家性が競合し、熱のある面白いフィルムになっていましたが、あとの2作はそういう作家性が前面に出ておらず、既存の枠内からはみ出さない作りで物足りず、もっと挑戦的な作品が見たいです。今までボンズに関わったスタッフで言えば、松本理恵監督や宮地昌幸監督の作品を期待します。