さぶかるもん

アニメ歴約20年、ドラマ歴約5年の硬派オタクによる備忘録

ヤマカンブログ雑感 / アニメ・イズ・デッドのその後

ヤマカンこと山本寛監督が京アニ放火事件について書いたブログが話題になっています。

https://ameblo.jp/kanku0901/entry-12497416248.html

これは、その前に炎上した大阪芸術大学教授のコラムと似ている部分もありますが、「代償」というのは自省も含んでいて、主張の趣旨としては、主にネットが生む狂気、一種の過激なファン心理が暴走した事件と捉え、いわば「クレーマー」に屈するようなことがあってはならない、セキュリティ面を含めて自衛する手段を真剣に考えなければいけないというものだと僕は捉えました。犯人の動機が未だに不明瞭の中で、安易な結びつけをするのは危険ですが、一般論としては同意します。

さすがに本人が割り切っているとしても、この乱暴な文章では誤解を生むのは仕方がない面があるのですが、前段として貼られている動画を見れば判る通り、トークはインテリオタク的な、映画評論家の町山智浩さんなどと似たような話し方をしていて、すんなり話が入ってくるものなので、ブログを書いたりTwitterで不毛なやりとりをやるより、生放送とかで口で語った方がいいのではないかと思う次第です。

さて、ここからが本題でブログに貼られている「アニメ・イズ・デッド」について。


アニメ・イズ・デッド - YouTube

簡潔に内容をまとめると、2007年くらいからクリエイターよりネットを主とした視聴者側の力が強くなり、そこに振り回されるようになってしまい、アニメから思想やテーマが消えて、萌え日常系が台頭してアニメがつまらなくなった=アニメが死んだというもので、これは誰が悪いというわけではなく、政治的な動きも含めて世の中の潮流がそうなってしまっているということを語っています。(にもかかわらず、ヤマカンさんは、今回の件ではオタクというところに拘って批判しているようにみえることが引っかかりますが)一つ注意したいのは、イベント後日に行われた岡田斗司夫さんとの対談を見れば分かりますが、ヤマカンさんは萌え系・日常系滅びろ!と言っているわけではなくて、あってもいいけど、右向け右でそういうのばかり偏って溢れてしまうことが嫌というようなことを言っていて、これについては同意する方も多いのではないかと思います。

さて、この2016年のトークイベントから3年経ってどうなったか?

言うまでもなく、異世界転生ものや、なろう系作品を中心としたファンタジーが流行っており、その特徴として、いわゆるチートもの、能力値が高い、モテるといった、主人公補正が高いような作品が目立っています。

動画の中でヤマカンさんは、現実逃避に向かっていると語っていますが、日常系は、聖地巡礼だったりイベントに行ったりするような日常を豊かにする要素があり、どちらかというと視聴者はリア充度が高い面があるのと比べると、異世界系の流行は現実逃避度がより高い方へと向かっている傾向にあると思います。

それが世相を現しているかどうかは慎重に考えたいところですが、反ポリコレやN国の躍進などを見ると、何かリセット願望・破壊願望的な鬱屈としたものが溜まっていっているのではないかと危惧します。