『迷家-マヨイガ-』1~3話 感想
1話の印象は、三谷幸喜的な群像コメディをやりたいのかなと思いましたが、話が進むにつれ、海外ドラマの『LOST』みたいなミステリサスペンスに。
登場人物が多く、それぞれのキャラをしっかり生かしきれるのか不安だし、極端な性格のいかれたキャラクターが殆どで、感情移入しづらい部分があり、現段階ではこの人たちがどうなろうと何とも思わず、見ていて疲れてしまいます。キャラ設定を確認したら、多くがまだ10代で、それがデザイン含めて、一見して全然判らない描き方なのは意図的なのかどうなのか。
脚色の巧さが光る『ジョーカー・ゲーム』 1、2話感想
原作は1巻のみ既読。脚本の岸本卓さんは原作が小説の仕事は初めてだと思いますが、世界観にすっと入れるようにうまく構成されていて感心。以降は、1エピソードを1話に収める形になり、手腕が問われますが楽しみです。
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『おそ松さん』は映像ギャグの概念を変えたのか
今やほぼオワコン化していると思われる岡田斗司夫さんが、『おそ松さん』を映像ギャグの概念を変え、アニメの中で今まで遅れていた笑いの分野で世界最先端になったとベタ褒めしており、この発言について検討をしていきたいと思います。
ライターの多根清史さんが、お笑い番組としての『おそ松さん』を詳細に解説しているのですが、それを参照します。
コントは、テレビタレントという“キャラクター”を量産してきた実績のあるフォーマットだ。それに「アニメならでは」も加味した「おそ松さん」は、「ザ・ドリフターズ」と、キャラクターにスポットを当てた「ラブライブ!」のハイブリッドといえる。キャラクタービジネスの面からも、アニメ業界にとって学ぶべき点が多いといえよう。 http://mantan-web.jp/2016/03/28/20160326dog00m200040000c.html
恐らく紙面の都合で触れていないだけでしょうが、過去にそういった作品がなかったかといえばそうではなく、その礎的存在として『ギャラクシーエンジェル』があると思います。2期目からは朝に放送されていたので、下ネタはほぼ無かったと思いますが、パロディありの不条理ナンセンスギャグアニメで、キャラクタービジネスも幅広く展開されていました。
また、本題とは少し離れますが、同時期に放送開始した『ジャングルはいつもハレのちグゥ』もよくできたハイテンションコメディ作品で、おそ松さんに脚本で参加した横手美智子さんがシリーズ構成をしています。
ギャグアニメについて調べると、検索上位に「おすすめギャグアニメ○選」という記事がいくつか出てくるのですが、入っているのは最近の作品ばかりで、上記した作品はスルーされていて寂しい限りです。
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本題に戻りますと、そもそも毒のある過激ネタは原作の「おそ松くん」などの赤松先生の作風をリスペクトしたもので、アニメ(個人的には2作目を少し観た程度)も、イヤミとチビ太がほぼ主役だったようですが、様々なシチュエーションでのコント形式でした。
そして、1話で話題をさらったパロディや下ネタ要素などの手法は、監督はじめメインスタッフが関わった『銀魂』で培われて引き継がれたもので、スタッフを知らずして観ても勘が良い人は銀魂のスタッフだなと判る作風になっていると思います。
更に、世界最先端というならば、海外作品にも目を向けなくてはなりません。おそ松さんでも18話で『チキチキマシン猛レース』をパロっていましたが、他に有名どころでは、『トムとジェリー』、『パワーパフガールズ』、『サウスパーク』、『スポンジ・ボブ』があります。あとは、残虐さではPG-12指定の『ハッピーツリーフレンズ』も外せません。
中には日本の作品の影響を受けているものもあると思いますが、やはり過激さは高く、センスも独特で、これらの海外アニメのエッセンスを日本アニメ風にした『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』という作品も作られました。
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さて、拙いながら簡単に一通りギャグアニメを俯瞰的に振り返りましたが、岡田さんが『おそ松さん』はこれらの作品よりギャグアニメとして何が優れていて世界最先端と言っているのかは、根拠が不明で論じようがありません。ただ、これまで挙げた作品と『おそ松さん』で決定的に違うのは、キャラクターの身近さにあり、人気を社会学的な視点から分析した記事を2つ紹介します。
これらの分析が妥当かどうかという問題もありますが、そこは置いといて、結果としてBD・DVDの1巻が10万枚以上売れており、歴代平均売上ランキングの8位に踊りでています。
個人的には、そこまでキャラクターに共感せず、普通にギャグアニメとして楽しんでいましたが、話により当たり外れもあり、ギャグアニメ作品として一番好きかと問われると、そうでもなく、この作品に対してあまり熱はありません。今後のアニメにどう影響を与えるのか判りませんが、ヒット作を半端に真似をして、それが成功に繋がった例はあまりないと思うので、クリエーターやプロデューサーは変に左右されずに作品づくりに邁進して欲しいと願います。
『おそ松さん』総評
最終回の感想としては、前回までの切ない展開を投げ捨てて、いつもの滅茶苦茶な設定のノリへと転換したところは良かったのですが、そこがピークで、らしい終わり方ではあったものの、殆ど既出ネタで、最終回にしてネタ切れ感漂う微妙な内容でありました。
他の方の感想を見ても、やはり評価は結構分かれているようで、もっとキャラ重視のストーリー性のあるENDを求めている方が多いのかなと感じます。
原作や「おそ松くん」アニメでは更に大人になった姿が描かれたりしているので同じようなことをやるのかなと思ったんですが、もしかしたら続編のことを考慮して、そういった終わり方をあえて避けたのかもしれません。
全体としては、原作のもつブラックさを軸にし、六つ子の個性的キャラを生かした自由度の高い荒唐無稽で壮大なコント集といった感じで、楽しめたのですが、少々下ネタがワンパターンな面もあったかなと思います。あと、個人的にはデカパンとダヨーンが好きで、デカパン博士の研究を絡めた日常の延長上のストーリー性のある話がもっとあったら良かったですね。
文句を言いましたが、ほぼ全話の脚本を担当した、元ナイナイANNハガキ職人でバラエティ番組の放送作家の松原秀さんが大仕事を成し遂げたことは言うまでもなく、ギャグアニメの可能性を新たに広げた作品になったと思います。
『アクティヴレイド -機動強襲室第八係-』1期 総評
仮面ライダーG3的なパワードスーツを着て街の平穏を守る、問題有りの特殊部隊の活躍を描いた話。
全体としては楽しめたのですが、後半に入り、少しパトレイバーを意識したような、政治の腐敗、ネット社会への警鐘、社会の犠牲者的な社会派寄りの話になるのですが、話を大きくしすぎて中途半端な感じになってしまい、あるある社会派エンタメ(それを狙ってる部分はあるかもしれませんが)を抜けきれず、その部分はいまいちでした。
2期については、中途半端にせず、人間ドラマを中心としたエンタメで突っ切るか、がっつり大人な社会派エンタメをやって欲しいですが、まあ後者は視聴者の多くは望んではいないでしょうね(笑)
2016年4月放送開始ドラマ 期待度ランキング
一応は全番組チェックすると思いますが、全てをランキングにすると大変なので、期待度の高い作品を7つ紹介します。
1. ディアスポリス-異邦警察-
TBS系列の深夜ドラマ新枠の『 ドラマイズム 』一作目。
原作は未読ですが、密入外国人問題を取り扱った内容の模様。『相棒』の「右京の同級生」を思い起こしました。
2. トットてれび
主演:満島ひかり
黒柳徹子さんのエッセイを原作に、テレビ草創期の熱気を描くという内容。
多少知識はあれど、世代では全くないので、そういった人も楽しめるようになっているか注目。
3. その「おこだわり」、私にもくれよ!!
監督:松江哲明 脚本:竹村武司
清野とおる作品を元にしたフェイクドキュメンタリー。
4. コントレール ~罪と恋~
脚本:大石静 演出:柳川強、橋爪紳一朗
火曜日放送していた、NHK「ドラマ10」が金曜に移動。
不安も大きいところもありますが、無差別殺人犯とその被害者の妻のラブストーリーという、NHK、気は確かか。といった挑戦的なストーリーなので注目しています。
5. 毒島ゆり子のせきらら日記
脚本:矢島弘一 演出:坪井敏雄、大内舞子、村尾嘉昭 音楽:パスカルズ
脚本はこれがTVドラマ初仕事の劇作家の方なので未知数ですが、あらすじを読む限り期待できそう。
6. OUR HOUSE
フジテレビの新設ドラマ枠。地上波ゴールデンタイム枠では4年ぶりの野島脚本作品。ここ最近は日テレ深夜枠でアイドル主演のぶっ飛んだ設定のタブーに踏み込むようなドラマをやっていましたが、外国人妻という題材で何を描くのか注目。
7. 奇跡の人
脚本:岡田惠和
ヘレン・ ケラーとサリバン先生の物語を描いた有名な戯曲を原案とした、現代の日本を舞台にした作品。
といっても、サリバン先生は男になり、ラブストーリーになるようなので、あんまり原作は関係ないものになると思われます。
以上、ハズレはないだろうなと思える作品を紹介しました。
他には『重版出来!』、『最後のレストラン』、『僕のヤバイ妻』も少し気になり、今期も割りと豊作でしたが、来期も期待できそうです。