ドラマ『海底の君へ』評 - いじめの傍観者としての大人
作:櫻井剛 演出:石塚嘉
弁護士になったいじめの主犯だった人物を、『スカッとジャパン』を見てキャスティングしたのか忍成修吾が演じており、実にハマり役でした。この弁護士が殺意を覚えるような発言を連発して、藤原竜也を狂気の道へといざないます。一部引用。
「あんなの笑い話だろ。あの時は俺もあいつ等もやんちゃというか、多少やりすぎたこともあったかもしれないけど。もう忘れようぜ、前向いていこうよ。」
「いじめた側の子にだって、しこりはある。残されたやつのことも考えろ。死ぬ勇気があるぐらいなら何だってできんだろ。」(自殺未遂したヒロインの弟についての語り)
このドラマのメッセージは、事件後に差し挟まれたニュース番組の街頭インタビューが象徴しており、「あそこまでやることはない。」、「違うことに向けられないのか。人と感覚が違うからああいうことがてきるのかな。」と薄笑いを浮かべながら語る人々を映し出し、自分には関係ない他人事として処理してしまうような大人たちもまた、いじめの傍観者ではないかと問いかけているように思います。