さぶかるもん

アニメ歴約20年、ドラマ歴約5年の硬派オタクによる備忘録

プレミアムよるドラマ『ママゴト』 1話感想

【演出】中田秀夫

【出演】安藤サクラ、小山春朋(子役)、臼田あさ美古舘寛治根岸季衣杉本哲太 ほか

NHKBSプレミアム放送のドラマ。演出はホラー映画でおなじみの中田秀夫さんですが、漫画原作の人情子育てもので、主人公のスナックのママ「映子」が、昔、風俗店で働いていた頃の友達が急に現れて「子どもを預かって欲しい」と頼まれ、断るが、子どもを置いてどこかにいってしまって、不本意ながら預かるという形になるという話。

概要だけでは、重たい話のように思うかもしれませんが、映子はサバサバとしてガサツな性格、子どもは小生意気で底抜けに前向きな性格で、2人のやりとりなどが笑えるものになっており、割とコメディ要素が強く、それでいて1話で語られる映子の悲しい過去を絡めたほろりとする展開が巧く、万人に勧められる内容です。

2016年7月放送開始アニメ 視聴継続作品 簡易感想(2話時点)

2話の時点で視聴継続予定の作品の簡易感想を面白かった順に書いていきます。

モブサイコ100

とりあえず、キャラが生き生きと動いているのが愉しい。ストーリーは、ギャグ要素が強いけど、青春ものとしてどう転がるかが今後のポイント。

91Days

ストーリーは一番面白いのですが、アニメならではの要素が薄いので、2番目。復讐劇がどんな結末を迎えるのか。

Rewrite

キャラ自体はテンプレな感じですが、ノリは良く、続きが気になる構成。

テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』

相変わらず自分がufotableに求めている方向性のものとは違い、手堅い企画ですが、テイルズ作品だけあって壮大で魅力的な世界観。

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン

今のところ、精霊の存在があまり活きていないけど、名将の采配的な楽しみ方をしています。

美男高校地球防衛部LOVE!LOVE!』

前期もなにげに最後まで見ていて、気楽に楽しめる娯楽作。

タブー・タトゥー

アクションのクオリティが高く、ベテランの関島眞頼さんがシリーズ構成(共同)なので、安心して楽しめる作り。

レガリア The Three Sacred Stars

山下将仁さんが、原画、メカ作監で参加しており、メカ作画に気合いが入りまくってるのは素晴らしいですが、ストーリーはいまいち。

『タイムトラベル少女~マリ・ワカと8人の科学者たち~』

教材的な伝記SFで、いい子ども向けアニメだと思います。

チア男子!!

このままのペースだと、メンバー集めだけで終わってしまうんじゃないかと心配ですが、キャラもよく、ストレートな青春もので、それなりに楽しめます。

スカーレッドライダーゼクス

原作は乙女ゲーのようですけど、ノリは完全に戦隊シリーズ風で、男性でも楽しめると思います。

『orange』

手紙の初めの方に重要なことをなぜ書かなかったのか疑問があったりするけど、浜崎博嗣監督による丁寧な日常描写など見応えがある。ただ、あんまり主人公たちに好感を持てない(笑)

『パズドラクロス

方向性がまだよく判らないので様子見。今のところバトルがあまり面白くないのが不安。

『神の舌を持つ男』 1、2話 感想

堤ワールド満載であるが、『TRICK』ほどはっちゃけておらず、今のところ2時間サスペンスのパロディの域を出ていない。舞台もメインが温泉地なのであまり代わり映えせず、ミステリーの部分でもいまいち。

脚本家の櫻井武晴さんは、これがTBSでの全話脚本担当作品の3本目になりますが、どんどん櫻井さんらしさが削がれていて、コナン映画では成功していますが、同じ『相棒』で有名になった脚本家の古沢良太さんと比べると、仕事に恵まれていない印象をどうしても持ってしまいます。

『コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜』総評 内向きで響くものがあまりなかった

「正義」とはトラウマのようなものだ
これは精神科医斎藤環さんが08年にPHPオンラインの連載で『ダークナイト』を主軸に語った理論で、この作品の主人公たちもそれを背負っており、個人的には大好物な話で期待していたんですが、いまいち乗れなかったのが正直なところ。斎藤環さんのコラムの締めくくりとして
もはや正義に単純な希望を託すことはできない。それはもはや、ノスタルジーの身ぶりとしてしかありえず、その意味で希望は過去にしかない、のかもしれない。
しかし「9.11」以後の世界において、「正義」をこのように相対化し、懐疑してみる姿勢はもはや避けることはできない。それはいささか寂しいことかもし れないが、認識としては前進なのだから。そこから先に何が見えるかはまだわからない。
とあるのですが、この作品はそこから先には達しておらず、前段のところに留まっており、外に対して説得力のあるものを提示できていなかったように思います。特撮愛、サブカル愛に溢れているのは、まあ伝わるのですが、脚本の會川さん個人の自分史の整理を作品でやっている感が強かった。
 
内容の面以外では、台詞に頼りすぎており、話の運び方が理屈っぽいので、ちょっと観ていて疲れる面があり、エンターテイメントとしてはいまいち。脚本に引っ張られてか、演出もアクション以外は、作画も低調で、単にキャラを喋らせているという感じが強く、深く印象に残るシーンがあまりありませんでした。若者受けを意識してか知りませんが、中途半端に世界観を子ども向けっぽくしたり、バラエティ要素を入れたりせず、シリアスな大人のエンターテイメントとしてやった方が良かったのではと思います。
 
水島精二監督と會川さんコンビの作品としては、『大江戸ロケット』のようなものをまたやって欲しいです。
 

 

 

 

大江戸ロケット vol.1 [DVD]

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話がまともに作れないならポエムを書けばいいと思うよ 『キズナイーバー』&『迷家』の難点 ②

前回の記事はこちら

 
今回は『迷家』についての感想とまとめを書いています。
 

迷家-マヨイガ-

こちらはホラーなので設定の粗はそこまで気になる部分はなかったのですが、何故わざわざ生活環境の不明な都市伝説の村で人生をやり直そうとするとかという動機の説得力が弱い。あと、納鳴村について調べる過程でこはるん父の研究に行き当たらなかったのかなと。
 
そして、30人もの登場人物を捌ききれずに、結局、最後が駆け足展開となってしい、情緒もへったくれもないたたみ方。
 
内容においては、ネタ要素が強く、何を魅せたいのかぼやけてしまっている。これは、現代の視聴スタイルに合わせて話題になりやすくしようとした結果かもしれませんが、トラウマ含めてネタ消費に還元されてしまい、感情移入を妨げる方向に働いてしまっていると思います。そもそも、ホラーものとして全然怖くないのは致命的。
 
結論は、『キズナイーバー』と同じ感じですが、この作品はドライさがあり、しいていえばこちらの方が好みで、登場人物を減らし、キャラの深堀をちゃんとしていれば、いい作品になったんじゃないかなと思います。
 

まとめ

個人的には非常に残念な出来でしたが、世間的に受けてヒットしたなら、企画としては成功なので、そこは納得します。しかし、今のところ1巻の円盤の売り上げは『キズナイーバー』は1300枚程、『迷家』は発売前ですが同程度と見込まれており、商業的には失敗と言えるでしょう。
 
当然、売り上げが全てではないのですが、この2作品は、企画側の姿勢として「流行りからずれていて売れないかもしれないけど、自分たちが信じる良い作品を作ろう」といった類のものではなく、宣伝文句(アニメ業界の先頭を突っ走るヒットメーカーによる奇跡のコラボレーションプロジェクトが始動! by 迷家)等からしても「話題性があり、売れるような作品を作ろう!」という算段が強い面がある企画だと思うので、そこを考えれば、完全に目算が外れてしまった結果だと思います。
 
タイトルで脚本家を揶揄するようなことを書きましたが、脚本家に全ての責任があると思っているわけではなく、スケジュール(予算)の問題、製作委員会方式の問題など、様々な要因が絡んでいて、一様には言えないでしょう。
 
一つの改善案としては、ハリウッドがやっているようなスクリプト・ドクターを導入することが考えられますが、日本には殆どいないようなので、現実的に導入するとしても時間がかかりそうです。
 
とはいえ、仮に製作関係者の多くが、これを自信満々にいい作品だと自負しており、今回は当たらなかっただけ、仕方ない。というような意識でいるとしたら、システムの問題以前の話で対処しようがありませんので、そうではないことを願いたいです。

話がまともに作れないならポエムを書けばいいと思うよ 『キズナイーバー』&『迷家』の難点 ①

今をときめく岡田麿里脚本のオリジナル2作が残念な出来だったので、何が駄目なのかを考察。
 
共通する主な問題点は、設定が投げやり、結論含めてほぼ台詞で説明、トラウマ描写がおざなり・紋切り型でキャラの深みがない、都合のいいアシストキャラが目立つ、最終的に急にみんな物わかりが良くなる、大人がまぬけ。といったところで、ターゲットが中高生にしても、ちょっと子供だまし的で視聴者を信用していない印象を持ちました。では、各作品ごとの感想を。
 

キズナイーバー

見ていない方は、細かい設定などWikipediaを参考にしてください。 
 
まず、設定について。キズナシステムの実験が始まった背景が全く描かれず、世界平和に繋がるという説明があるのみ。何がどうなったら実験成功か、どう平和に繋がるのか不明のままで、説得力が皆無。それを世界各国が援助して(一度失敗してるのに)やっているというのが滑稽の極み。そして、スケールの大きい話だったのが最終的に個人の感情、友情や恋愛の話に収束してしまって、設定は単に都合のいい装置でしかなく、園崎も過去の経緯があるにしても何でこのプロジェクトを任され指揮する立場にあるのかよくわからないという(笑)
 
都合のいいキャラは、極度のマゾヒストの日染芳春。賑やかし要因として機能させつつ、非常に物わかりがよく、他人の気持ちを代弁し、核心めいたことを言わせるためだけに存在し、大したエピソードは描かれません。あとは、一応キズナの会メンバーのマスコット達も都合のよい使い捨て要因(笑)
 
あとは、大人側がまぬけという問題で、特にそれを感じるのがスクールカウンセラーの漆原。彼女は、システムが解除された後でもメンバーが勝平の思いを聞いて胸の苦しみを感じたことに対して、こんなことを言います。
「誰かの痛みを自分の痛みのように感じる。それは私たちがキズナシステムで目指していたもの。ありがとう、キズナシステムがなくてもそれが可能だと教えてくれて」
そもそも人が全く他者の感情が理解できない存在という前提だったのか!(笑)そして、こんな発言を大人、しかもカウンセラーがするというおかしさ。ちゃんとカウンセラーの仕事をしてください<(_ _)>
 
そして最終的な結論が、「気持ちがわからないからお互い気になったりする、傷つけあうことがあっても、痛みと向き合い、それを乗り越えて仲良くやろう、友達万歳!」といったものなんですが、この結論とキズナシステムの必要性の話は別であり、最後は完全に園崎の個人的な動機によるものとなっていて、根本の設定の整合性の問題が立ち上がる構造になっております。
 
キズナイーバーについては以上。
 
ここで突然ですが、オススメの本を紹介します。
 
次回は迷家の感想とまとめを書きます。
 
 

2016年春ドラマ 総括

観れた作品の中で、面白かった順に並べると、『奇跡の人』、『火の粉』、『僕のヤバい妻』、『トットてれび』、『99.9―刑事専門弁護士―』、『コントレール ~罪と恋~ 』といった感じになります。

 
『奇跡の人』の感想はこちらに書いたので、それ以外の作品の感想を簡単に。
 
 

『火の粉』

原作は既読。原作とは展開や結末が違うのですが、それが見事に成功していて、個人的には原作よりドラマの方が好みです。
 
演出もバームクーヘンやマッサージチェアなどの小道具や、効果音の使い方が巧く、印象に残させる工夫が随所にあります。
 

 

火の粉 DVD-BOX

 

 
 

『僕のヤバい妻』

放送前から内容が似ていると言われていたゴーンガールが元ネタとなっているのは間違いないでしょうが、ゲスな登場人物達によるゲスな争いをツッコミながら眺め楽しめれる、良質な日本的エンタメ愛憎劇にアレンジされており、ゴーンガールを観た人でも楽しめるものになっていると思います。
 
登場人物の中で特筆すべきは、キムラ緑子高橋一生の年の差夫婦で、最初は単なるネタ要因かと思ったのですが、ある秘密を抱えており、終盤にかけて重要なキーパーソンとなります。
 

 

僕のヤバイ妻 DVD-BOX

 

トットてれび

世代ではありませんが、追体験する感じで楽しめました。
 
テレビが衰退し、趣味が細分化され、観なくなった若い人が増えたとはいえ、何らかのコンテンツをそれぞれ享受し、実況などで共有したりする文化は今もあるわけで、このドラマ制作者たちによる、その礎を築いた人々に対する讃歌と、まだこれからだ!というような力強い宣言を感じました。
 
 

『99.9―刑事専門弁護士―』

演出の木村ひさしさんのこれまでの作品と同様、小ネタ満載で、それを探すという楽しみ方が出来、話の方は多少凡庸で物足りないところはありますが、社会派な面もあり、冤罪を生み出すような検察の体質を批判する内容になっています。
 
ゲストもバラエティに富んでおり、ヒロインがプロレス好きということでプロレスラーが多数登場したり、『重版出来』との勝手なコラボとして漫画家の桂正和さんも出演。
 
 

『コントレール ~罪と恋~ 』

結末はビターで割と好みな落としどころだったのですが、桜庭ななみの行動があまり理解できず、やや話運びに強引なところもあり、展開の面白みに欠けました。
 
 
 
在住地域で放送されていなかった、『その「おこだわり」、私にもくれよ!!』は、6月末に放送されるようなので楽しみにしています。